糖尿病の障害年金と認定基準

このページをご覧いただいているお客様には糖尿病にかかっている方も多くいらっしゃると思いますが、糖尿病や糖尿病の合併症で障害年金が支給されています。

もくじ

糖尿病で障害年金が支給されるのはどういう場合か

糖尿病での障害年金申請は、1型糖尿病など糖尿病本体を請求疾患として申請する場合と糖尿病腎症や糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害などの糖尿病合併症を請求疾患として申請する場合があります。
この申請の仕方は、個々の事例に応じて多少の違いがでてきますが、障害認定基準としては以下のとおりです。


糖尿病の障害認定基準

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(平成29年12月1日改正)より

第15節/代謝疾患による障害
代謝疾患による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準
代謝疾患による障害については、次のとおりである。

令別表障害の程度障害の状態
国年令
別表
1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令
別表第1
3級身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを 1 級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

2 認定要領
(1)代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられるが、認定の対象となる代謝疾患による障害は糖尿病が圧倒的に多いため、本節においては、糖尿病の基準を定める。

(2)糖尿病とは、その原因のいかんを問わず、インスリンの作用不足に基づく糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心をなすものは高血糖である。糖尿病患者の血糖コントロールの困難な状態が長年にわたると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等の慢性合併症が発症、進展することとなる。糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定もあるが、多くは糖尿病合併症に対する認定である。

(3)糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する。


(4)糖尿病による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、
軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(5)糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。
ただし、検査日より前に 90 日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることについて、確認のできた者に限り、認定を行うものとする。なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
ア 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が 0.3ng/mL 未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
イ 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月 1 回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
ウ インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年 1 回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

(6)糖尿病性網膜症を合併したものによる障害の程度は、本章「第1節 眼の障害」の認定要領により認定する。

(7)糖尿病性壊疽を合併したもので、運動障害を生じているものは、本章「第7節 肢体の障害」の認定要領により認定する。

(8)糖尿病性神経障害は、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状等があるものは、本章「第9節 神経系統の障害」の認定要領により認定する。

(9) 糖尿病性腎症を合併したものによる障害の程度は、本章「第 12 節 腎疾患による障害」の認定要領により認定する。

(10)その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び症状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定する。


糖尿病による障害年金の申請の難しさと障害年金の受給への近道

糖尿病の場合は、初診日が古く証明が取れずに申請が難しくなる場合が少なくありません。
その一方で病気が急速に進行するケースもあり初診証明の入手に困らない場合もあります。
まさにケースバイケースでの対応になります。

また、合併症による症状も事例ごとにいろいろであり、中には複数の合併症が発症しているケースもよくあります。

糖尿病による障害年金の申請は、難しい場合が多いので、申請されるご本人にとって最善の手続きとするためには、糖尿病による障害年金に精通した社会保険労務士の活用を検討するべきといえます。



以下、障害年金研究室(藤井法務事務所)で申請した心疾患による障害年金の成功事例をご紹介します。

糖尿病の障害年金申請成功事例


糖尿病単独

1型糖尿病① 障害年金申請事例 障害厚生年金3級


合併症

糖尿病腎症
糖尿病腎症 障害年金申請事例1-事後重症、2級
慢性腎不全 障害年金申請事例8‐事後重症、2級

糖尿病性神経障害など
糖尿病性壊疽