がんは、いろいろな臓器に発症します。
がんで障害年金の申請を考えるうえでは、ほぼすべてのがんが対象となると考えていいといえます。

障害年金研究室(藤井法務事務所)では、障害年金申請を開始してはじめて取り扱った事例が乳がんであったこともあり、がん全般の障害年金の申請の代行に積極的に取り組んでいます。

なお、乳がんについては、藤井法務事務所では申請事例も多いことから、単独でコンテンツを作りました。乳がんの方は下記をクリックしてください。

乳がんの障害年金受給事例と認定基準
https://shougainenkin-labo.jp/archives/300

 

もくじ

がん(悪性新生物)で障害年金が支給されるのはどういう場合か

がん(悪性新生物)による障害は、① 悪性新生物そのものによって生じる局所の障害、②悪性新生物そのものによる全身の衰弱又は機能の障害,③悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害の3つに区分されています。これらの障害が、障害認定基準に定める障害の程度と障害の状態に該当すれば支給される可能性があります。

 

がんの障害認定基準

第16節/悪性新生物による障害

悪性新生物による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準
悪性新生物による障害については、次のとおりである。

令別表障害の程度障害の状態
国年令別表1級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
厚年令別表第13級身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1)悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々である。

(2)悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等がある。

(3)悪性新生物による障害は、次のように区分する。
ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害

イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害

(4) 悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表
区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
(5)悪性新生物による障害の程度は、基本的には認定基準に掲げられている障害の状態を考慮するものであるが、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。
障害の程度障害の状態
1級著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの
2級衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
(6)悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、本章各節の認定要領により認定する。

(7) 悪性新生物による障害の程度の認定例は、(5)に示したとおりであるが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(8) 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。

「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 平成29年12月1日改正」から

がんによる障害年金の申請の難しさと障害年金の受給への近道

がんによる障害年金の申請の難しさは、がんの転移の状況や進行状態などどのタイミングで手続きを行なったらいいかの判断です。
すぐに手続きしたほうがいい方もいれば、そうとはいえない方もいます。
また、障害状態によっては、複数の診断書を提出する事例もあり、事例ごとに違いますので、こうすべきだという定型パターンはありません。

がんの障害年金の場合も他の病気と同様、一般的に申請がスムーズに完了できるという方はそれほど多くなく、ご自分で申請しようとする場合は心配とストレスを抱えながらの申請準備が続くと思います。ですから、がんによる障害年金の場合、できれば手続を安心してまかせられる社会保険労務士を見つけることが受給への近道と考えます。

私ども障害年金研究室もがんによる申請は十分に経験しておりますので、お役に立てることもあると思います。
よろしければ、無料メール相談からご相談ください。

以下、障害年金研究室が申請したがんによる成功事例をご紹介します。

がんによる障害年金申請事例

 

胃がん 障害年金申請事例

 
手続を代行した結果・概要
 
  • 疾患名:胃がん
  • 性別・年齢:女性57歳
  • 住所地:北海道札幌市
  • 障害の状態:胃部不快感
  • 決定等級:障害基礎年金1級
 
胃がんの発症から障害年金申請までの経緯
2年前(55歳)、胃部に不快感が出現し、クリニックを受診した。
内視鏡検査を施行したところ胃がんの疑いがあり、生検を実施。胃がんの確定診断を受け、大規模病院に紹介され、化学療法を受ける。
その後腹腔鏡術を受けるが、腹膜播種が判明し抗がん剤療法となる。

 
請求手続き・学んだこと
障害年金の申請については、ご家族様から、当事務所にご依頼いただきました。
初診から2年での請求であったため、受診状況等証明書の取得は全く問題なく行うことができました。
診断書の入手も特に問題なく入手でき、病歴・就労状況等申立書も詳細に記載して提出し、申請が完了しました。
障害基礎年金1級と決定されました。

 

その他のがんによる障害年金申請事例

腹膜肉腫 障害年金申請事例

多発性骨髄腫 障害年金申請事例

胸腺原発性神経内分泌腫瘍① 障害年金申請成功事例 障害認定日遡及決定

食道がん 障害年金申請事例-事後重症決定、障害厚生年金2級

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